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今日から始めるゲーム統計学

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かつては麻雀およびエロゲのデータを統計解析して遊んでました。今では日本酒に夢中です。

【麻雀雑談】OYOYOさんへのコメントレス ~捌き手の効果 

先日、「反省しない」という考え方という記事を書きました。
この記事に対してOYOYOさんからコメントにて
「北家で安手の仕掛けを入れて、親の手番を増やすのは損ではないのか?」
という指摘を頂きました。

これに対するコメントレスを書いたところ、モーレツに長くなってしまったので、
記事として投稿することと致しました。








問題のシーンの画像↓



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OYOYOさんの疑問点は、だいたい以下の2点にまとまるのではないかと思います。

■① 北家で鳴きまくって親のツモを増やすのは不利ではないのか
■② 鳴きまくって安手でアガリを目指すのはリスク過多ではないのか


正直な話、僕が使ってる実戦的セオリーは、自分が統計によって獲得したものというよりはむしろ
僕が大きく影響を受けたぐっさんという統計派の天鳳プレイヤーの受け売りの部分が大半だったりします。
受け売りが大部分になりますが、この2点について掘り下げて書いてみます。



■① 北家で鳴きまくって親のツモを増やすのは不利ではないのか

親に手番を多く回すことの損失と、
自分のフーロによる和了率上昇との比較について、まず書きます。


鳴くと親の手番が増えるとのことですが、
言っても、トイメン・下家からのポンで初めて他家のツモが飛ぶだけです。
相対的に親のテンパイスピードが上昇するのは間違いないのですが、
該当するポンが発生する度に、他家のテンパイ巡目が1巡遅れるだけです。
それも最大で3巡くらいです。


一方自分のテンパイ巡目は相当早くなってます。
例えば、

2399m466p789s西白白

こんな牌姿があったとします。
結論を先に書くと、白をポンすることによって
面前と比較してテンパイ巡目は11巡くらい早くなります。




2399m466p789s西白白
の牌姿の2シャンテン→1シャンテンの受け入れは、18枚です。
http://tenhou.net/2/?q=2399m466p888s355z4z
↑天鳳牌理のページ

この受け入れを自力でツモる確率は18枚/120枚(牌の全枚数から手牌を省いたもの)を引くための平均巡目は、
逆数の 120/18= 6.67巡になります。
白を鳴くことによって、この6.67巡がまるまるカットできます。

なんで逆数になるのかは、サイコロで1が出る(1/6の確率)までの平均試行回数が
6回(逆数の6/1)ということで、感覚的にわかっていただけるかなぁと。


以下引用
--------------
確率pの事象が1回成功するまでにかかる試行回数の平均は
Σ p(k+1)(1-p)^k
等比数列の和で分解して1/p

これが消費巡目の式になります。式はΣでおえってなる人がいるかもしれませんが、公式は簡単。

例えばサイコロで1が出るまでかかる平均回数は1/6の逆数で6回ということになります。
非常に使いやすく、覚えやすい公式ですね。

麻雀ではイーシャンテンの受けが2種なら2/34の逆数34/2=17巡が平均聴牌順目となります。

--------------
引用終了
引用元:http://g3gussan.blog64.fc2.com/blog-entry-56.html



ポンした形 2399m466p789s白白白
の牌姿の1シャンテン→テンパイの面前の受け入れは、16枚です。
http://tenhou.net/2/?q=2399m466p789s555z4z
↑天鳳牌理のページ

しかし、この手牌が鳴けるとなると、
全家が切る9m6pのポン受けで4枚×3=12枚(全家から鳴けるので、ポンによる受け入れが一巡につき3回追加)
上家が切る14m5pのチー受けで12枚×1=12枚(上家から鳴けるので、チーによる受け入れが一巡につき1回追加)
が足せて、受け入れは全部で38枚になります。

これを比較すると、
120/16= 7.50巡
120/38= 3.16巡
ですので、フーロによって差し引き4.34巡ほどテンパイが早くなります。


これを、先ほどカットできた6.67巡を足すと、計算上は平均テンパイ巡目が11巡ほど早くなります。
この間、親のテンパイスピード上昇は「自分以外の他家と比べて」「マックス」2巡ですから、
もう全然お話にならないくらい和了率を上昇させる寄与の方が大きく、鳴いた方が有利です。


このように、フーロによって飛躍的にテンパイスピード、和了率を上昇させることができます。
特に役牌トイツのある手はこの効果が非常に大きく、平場で役牌を1鳴きしない局面はほぼありません。





■② 鳴きまくって安手でアガリを目指すのはリスク過多ではないのか

1、「1000点和了」には1000点以上の価値がある

>この辺の着順寄与の話は、単純に自分の「和了率」だけではなく、
個人的には「期待値計算」なのかなと考えています。


ということでした。
この考え方自体は正しいのですが、素点を率直に比較していいのは順位点のないルールでの話です。

順位点のないルールにおいては、
10%の2000より、5%の5200を取りに行くのが正着です。
2000×0.10<5200×0.05ということで、素点を率直に比較できます。
(和了率減少により生じた失点期待(ここでは余った5%による失点期待)が加点期待を上回ればこれも必ずしもそうではないですが……)

しかし、着順によるウマオカがある麻雀では、
和了によって上昇した着順期待分のウマオカ収入が収支期待値に足せるので、
素点よりも和了率を重くみるべき局面が増えてきます。



以下引用
--------------
enecreさんが半荘での東1千点和了時の分布(鳳南統計)を出して下さっており、
%表記で 32-26-23-19 程度になります。
これをウマ1-3のオカ5000でウマオカ収入に換算すると5600点となり、
千点の和了でもウマオカで5000点以上の収入をしていることになります。

--------------
引用終了
引用元:http://g3gussan.blog64.fc2.com/blog-entry-62.html


同じ考え方を、天鳳特上六段に適用すると、
1000点の和了によって、12.75ptの収入をしてることになります。
打点に関わらず、和了によって局を消化することは有効だと考えられます。



※余談
ただし、この順位分布の統計結果自体に、
1000点アガったら順位が良くなるのではなく、
強者が東パツ1000点アガることが多かっただけなんじゃないの? っていう反論があったりはします。
母集団のランダム化がされてるの? っていう話で、統計的にはすごく大事な所です。
今のところはこの結果と解釈を信用しているのですが、検証が必要ではあるかもしれません。
これに関しては、また別に詳しく記事にしてみようと思ってます。



2、放銃回避できたとしても、親による被ツモはかなりの着順期待損失である。

役牌を鳴かずに捌き手を引っ込めて、親リー入って4000オールツモられると、
放銃回避してほっとしたものの、親のラス率がどんでもなく減るので、相対的にラス率が上昇します。
ラス率が25%(4者均等)から33%(3者均等)になると、当然ながらこれは結構な痛手です。
勿論4000オールツモった側が後の展開でラスることなんてザラにありますが、当然ながらそのケースはかなり減ってます。



3、テンパイしてる時点で、体感より放銃率はずっと低い。


超極端な例ですが、自分裸単騎、相手五面張リーチでめくりあったとしても、自分の放銃率は絶対に50%を超えません。
何故なら、相手の和了の半分はツモだからです。

自分が2000点フーロ手のリャンメンテンパイしてるところに、リャンメンリーチをかぶされたとします。
交互にツモって、お互い2種合計4種のアガリ牌のうち、どれが一番山の浅いところに居るか、という勝負なので、
自分ロン、自分ツモ、相手ロン、相手ツモが25%均等です。
つまりは、和了率50%、放銃率は25%ということで、
相手の打点の半分があれば期待値的に押すことができます。


これに加えて、
・相手のリーチの良形率が100ではない(先制リーチの良形率は60%前後と言われてます)
・引き分け(どちらも振らず流局)なら罰符収入
・脇の放銃率が0ではない(2件テンパイに脇が振れば、放銃回避もしくは収入)
・オナテンなら放銃率0
などなどの要素から、25%均等の仮定より和了率上昇・放銃率低下するので、さらに押し有利になります。


※余談
安手で押す場合は良形(リャンメン)であることが大事です。
自分愚形・相手良形だと、自分和了:相手への放銃:相手ツモが33%均等になり
和了率33%、放銃率は33%ということで、相手と同等の打点が自分にないと不利です。
子の良形リーチに押せる愚形は、5200あってギリギリくらいです。


ちなみに、今回の牌図の例では、
子のリーチ(赤3枚の麻雀の全体統計で平均6000点)vs 2000点+リー棒1000点なので、
平場ではそこそこ押していいです。


ですが、相手ラス目、自分2着目でかつ
トップともそこそこ点差がついているという点数状況を加味した時に、
総合的な判断としては押しは若干怪しいという状況です。
先ほど、1000点和了はpt的に12.75ptの得、という話をしましたが、それは、全員原点の時の和了効果の話で、
ここまで点差が付いてると2000点和了にそこまでのpt効果はないのではないのか、という話です。


しかし、このくらい微差の押し引き判断ならば、ミスをしたところで長期で酷いことにはならないだろうということです。
こういう結果に引きずられてオリすぎたり、捌き手をやらなくなったりすると、
結局平均順位に悪影響を及ぼしてしまうので、
そういったことだけは回避しよう、というのが今回の「反省しない」の意味です。




というわけで、非常に長くなりましたが、
平均テンパイ巡目が10巡近くも早くなり、小さくない着順効果があり、
かつ追いつかれてもテンパイしてさえいえばそこまで酷いことにはならず、
オリていても着順期待は損失する
ということで、
これらの理由から、捌き手の和了メリットが親の手番を増やすデメリットを返して余りあると考えてます。


厳密な計算式を使った比較ではなく、
テンパイスピード、和了効果、放銃率などをそれぞれぶつ切りにして考察した解答なので、
OYOYOさんの欲しい返答とはまた違うものかもしれませんが、
私の考えていることはだいたいこんな感じということで、
今回はご容赦くださいませ。



※ちょっとだけ言い訳
実際の麻雀って、条件付き確率の塊です。
他家に受け入れ切られれば枚数減ってテンパイ率落ちるし、
逆に受け入れ以外を切ればテンパイ率はアガります。
この辺の計算って要素が多すぎて机上の計算ではすごく大変です。

それでもこのような局面でちゃんと期待値出そうとしたら、シミュレーターを作るのが一番です。
鳴ける牌が出る出ない、親がテンパるテンパらない、受け入れツモれるツモれないなど、
全部確率入れてあげて一巡ずつシミュレーションして、そのデータで判断します。
しかし、今の私にそこまでのプログラミング能力もなく……というところです……。
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by tsubame30 | 2013-04-10 23:33 | 麻雀雑談 | Comments(0)