ブログトップ

今日から始めるゲーム統計学

tsubame30.exblog.jp

かつては麻雀およびエロゲのデータを統計解析して遊んでました。今では日本酒に夢中です。

【エロゲ雑談】分割商法の無限の可能性 ~特徴の堅持か、リスクの回避か

先日、コアントローさんという方とツイッターを通じて、@でやり取りをたくさんさせていただきました。
色々面白いと思うところがあったので、ブログにまとめて見ようと思います。

https://twitter.com/kinako003/status/337996653875306497
↑発端となった僕のツイートと、コアントローさんの@のやりとり


ちょっと前に、「エロゲ業界の衰退」と銘打たれたminori代表のインタビューが話題になりました。
平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状


minori代表酒井氏によれば、昨今は短い時間で消費できるものが好まれる傾向にあり、エロゲの長さは時代の求めるボリューム感と相反するとのことです。
じゃあ短くすればいいじゃん、というのが素人発想としてあるのですが、そんなに単純な問題でもないようです。


>ならば安く、短めのものを作ればいいかといえば、そういったものは
>美少女ゲームの市場では軽く見られてしまいがちです。
>企画にかかる労力を考えると、短いものを安く短期間で作ることは
>制作上のストレスにもなります。


長くすると予算がかさむし、リスクも大きい。
短くすると軽くみられるし、企画の労力も増える。
実に八方塞がっています。
長さを調整する、以外の打開策は無いのでしょうか。


>それを避けるために、ライトノベルや漫画などは
>ひとつの作品を完結していなくともある程度たまったところで単行本として発刊し、
>コストを回収するのですが、美少女ゲームが同じことをすると“分割”と称され、
>避けられる傾向にあるようです。


ライトノベルや漫画では、当たり前に行われている「分割」。
なるほど、これは資金的には非常に有効な手段です。
しかし、同じことをやろうとすると、エロゲ界では敬遠されてしまう。
どうしてエロゲ界では分割が嫌われるのでしょうか。

それは、エロゲというものは「それ単体で完結している」という性質があるからだと思います。

「単体で完結している」
これは、さり気なく、他のメディアにない非常に特徴的な性質ではないでしょうか。
「完結している」ことが当たり前になっているから、完結していないと敬遠する。
そういうことであれば、自然な流れではあるでしょう。


個人的には「単体で完結してる」という特徴を消して欲しくはないなぁと思っています。
というより、「完結していないこと」が「ボリューム不足」より致命的になるイメージがあったので、
長さが問題になるなら人数削ったりプロット簡略化したりするほうが理想的じゃないのかなぁと。

しかし、勿論、理想的なだけで現実的ではありません。
企画コストの増大等の問題が消えるわけではない。


では、どのように対策すればいいのか。
そのひとつの解答として「分割商法を浸透させる」という方法があるのではないか

というのが今回のお話です。


分割は嫌われる、ということはあるのですが、
分割がまったくもって許されていないか、と言えばそんなこともありません。
例えば、一世を風靡した「WHITE ALBUM2」。
例えば、まさに先月フィナーレを迎えた「グリザイア」。
分割されていても受け入れられる場合もある。

今は分割作品で成功しているのは、ぽつぽつありながらも当然少数派。
「分割」をもっと抵抗なく普及させる方法はなにかないだろうか。

僕が考えたことは、
①作品向上という名目の分割  ②アペンド商法
の2つでした。


分割が受け入れられるための要素の1つとして、
「分割してること自体が、作品演出として機能している」ということが挙げられるのではないか。
例えば、「ひぐらしのなく頃に」なんかは、鬼隠し編、綿流し編……など○○編と分けることに意味が用意されていた。
そういう作品の質に絡んでくるような工夫があれば、分割という『負の遺産』は『作品の演出』として解釈され、抵抗感が薄まるのではないか、と。

前述のように、ノベルゲームプレイヤーは、「まとまった作品であって欲しい」という願望を「ゲーム」という媒介に託しているように感じます。ですから分割を嫌うのですが、逆にいえばこういった「作品向上」という名目があれば、分割自体は許されやすくなるように思います。


あるいは、アペンド商法という形。
最初に1作目で舞台等の設定を提供し、後から攻略キャラやプラグインなどを増やしていくという方法。
この方法、「カスタムメイド3D」や「真剣恋A」など、一部では似たようなことが既に行われています。
この例に挙げた二作では、第1作目からかなり力を入れていましたが、この第1作目の部分がコンパクトになれば投資リスクも抑えられ、うまいこと回りやすくなるのではないか。
なにより、1作目の段階でも「完結」の形をとれることが僕の中でとても大きい方法です。



僕がそんなことを妄想する中、コアントローさんが提案する分割の方法はもっとシンプルなものでした。
ズバリ、漫画やライトノベルと同じように、未完結な1作目をまず出してから反応を見て2作目以降の製作を考慮する、というものでした。
資金的なリスク管理という意味ではこれ以上ない方法ではあります。

しかし、そんなことをすればユーザーは黙っていないのではないか。
作品を途中で投げるようなことをすると不誠実だって感じになって心証がうんぬんなるのではないか、と直感的には思いました。

とはいえ、よくよく考えてみれば、面白くなかったゲームの続編が出ないことを嘆くプレイヤーも居ないのではないか、というのはあります。
いくらかは続編(完結)を望む者が居ても、「売れなかった」を理由にそれらは握りつぶされ、十分な結末が与えられないのは、連載漫画の世界では日常茶飯事です。

この方法、資金的リスク管理の面だけでなく企画の手数も増えるというメリットも大きい。
この業界、今のままの規模でやっていたら1回ポシャったときの被害額が甚大です。
しかし、ずっと毎回ヒット企画を打ち出すことは難しいでしょう。
どんな実績のある老舗メーカーでも、ずっと数をこなしていけば、1つや2つ不発も必ず出てきます。
この方法であれば、ポシャったものには手をかけず、うまく育ったものだけに傾注して育てていける。
また、その続く続かないの基準は売上げという民主主義的なパラメーターであり、ユーザーの意向を最大限に汲んだ方法と言えなくもない。
とても合理的な方法です。



問題なのはただ一点。この合理性をエロゲユーザーが受け入れることができるかどうか。


あくまで僕の中の主観的には、受け入れることが難しいことではあります。
「完結している」という特徴ゆえに、この業界に投資し続けているという部分が大きいからです。
そこが守られないのであれば、エロゲはほどほどに引退して、より手軽な漫画やラノベに流れていった可能性は非常に高い。
ただでさえ、ラノベの客層がエロゲの客層に似てきているという現状、「完結」という特徴は堅持してほしいし、逆に堅持しないと保たないのではないか。


しかし同時に、客観的には、やり方次第で目があるのでは、とも思っています。
「完結」していようがいまいが、すでに「PCノベルゲーム」というインターフェースからしてエロゲというものは独自性を確立しているという点はある。
ならば、漫画やラノベと同じ販売体制をとっても、そこまで人が流れ出ていかないのではないか。
むしろ価格が落ちることによって逆に人が入ってくるのではないか。
また、無駄なコストが減って余裕ができれば、クオリティが上がってくるのでは、という長期的なメリットも小さくない。



実際にやったらどう転ぶかは、なかなか予想がつかないことではあるのですが、
ともかく、分割商法には現状を打開する可能性があるということをコアントローさんのやりとりの中で認識しました。


コスト的な面を考えると、現状は不合理ではあります。
しかしエロゲーマーは、どこか同人的素質があるというか、不合理的なものを好むような側面もある気がします。現状これはこれで魅力はある。

しかし、それじゃ後が続かない。
うまく回す方法を模索しないことには、ますます衰退の一途をたどるでしょう。


なかなか繊細な問題ですが、10年後も20年後も、エロゲが楽しくプレイできる
世の中であればいいなぁ
と思いながら、今回はこのあたりで締めたいと思います。


(資金云々の前にまずは児ポ法か……。敵が多いなこの業界……。)
[PR]
by tsubame30 | 2013-06-01 22:12 | エロゲ雑談 | Comments(2)
Commented by doeru at 2013-07-27 12:32 x
そういうメーカーこそ変身ヒロイン陵辱ゲーを作ればいいんだよ!(迫真
古い記事になんですが初めまして、エロスケでたまーに採点つけている者です。
いやまあ、魔法少女とか魔法戦士とか魔法天使とか魔界天使とか触手天使とか超光戦隊とか
キャラも世界観も続投で枚挙に暇がないほど出ている作品は分割商法には入りませんかね?
というお話で。絶望と希望を繰り返せる設定の方が、萌えや純愛より分割しやすいと思うのですよ。
Commented by tsubame30 at 2013-07-28 17:59
こんにちは。コメントありがとうございます!

この記事書いてて「魔界天使」のあれは頭によぎっておりました。
あの形はありだなぁと思いますね。
特に変身ヒロインとなると、チーム組んだり、新キャラ追加したりと既存キャラそのままにバリエーションを持たせやすいジャンルな気がします。
純愛モノで同じことやると焼き増しって叩かれそうですね確かに……。